分離脳

分離脳(Split-brain)は、脳にある2つの大脳半球を接続している脳梁(脳の左右をつなぐ組織)が一部切断された状態を指します。この状態は通常、難治性のてんかんの治療のために行われる手術である脳梁離断術によって生じます。

脳梁離断術は、てんかん発作を制御するために、脳の左右半球の間の異常な電気信号の伝達を減少させる目的で行われます。この手術によって、てんかんの活動が一方の半球からもう一方の半球に広がることが防がれます。ただし、分離脳の状態では、両半球の情報が直接的には交換されなくなるため、それぞれの半球が一部の機能を独立して処理することになります。

分離脳の状態では、一般的に言語、知覚、運動の分野で特定の変化が起こります。例えば、左半球が言語を主に担当するため、右半身の運動を制御しますが、脳梁が切断されると、左半身の運動は右半球によって制御されることになります。また、言語に関連する情報は主に左半球に処理されるため、分離脳の状態では、口頭で示された情報を理解する能力が制限されることがあります。

分離脳の状態は、脳の機能や情報処理に関する研究の観点からも興味深いテーマとされており、分離脳の患者を用いた実験などが行われています。この状態によって、脳の機能の理解や意識の性質についての洞察が得られる場合があります。