同一視

同一視(Identification)は、心理学や心理療法の用語で、個人が他者や物事と自己を同一視するプロセスを指します。これは、他者や物事の特徴や属性を自己の一部として捉え、自己同一性を形成することを意味します。

同一視は、個人が他者とのつながりを感じたり、他者の立場や視点を理解しようとする際に重要な役割を果たします。例えば、子どもが自分の親や教師を尊敬し、その行動や価値観を模倣することで同一視を行うことがあります。また、特定の社会的なグループやコミュニティに所属することによって、そのグループの特徴や価値観を自己の一部として同一視することもあります。

同一視は、個人のアイデンティティ形成や社会的な結びつきの形成に重要な役割を果たします。しかし、過度な同一視が起こると、自己の独立性や自己表現の制約となる場合もあります。バランスの取れた同一視が個人の心理的な健康と社会的な調和に寄与するとされています。

なお、同一視とは異なる概念として、「投影」という心理メカニズムがあります。投影は、個人が自己の内面的な要素や感情を他者や物事に投影してしまう現象であり、同一視とは異なる概念です。